今日で1月もおしまい

1月は父と母の命日があり、父の誕生日もあるので、両親のことをよく思い出しました


桃と関係ない話なのね


桃ね、おばあちゃまには抱っこしてもらった
父が四十の時に脱サラした後は自営業だったので、父と母はいつも一緒にいて
些細なことでよくケンカをしていました

父が怒りっぽいというのも原因にありましたが
頼まれたことを正確にしない母の性格にも問題がありました
父はグルメとかではなかく、出されたものを黙々と食べる人でしたが
海苔だったら『山本山』、おはぎだったら『十勝おはぎ』というこだわりがありました
それはもう絶対でした


桃もターキースジにこだわりがあります!
ものぐさ者なのに、海苔とおはぎだけはデパートへ買いに行きました
とはいえ、入院中はそうはいきません
父は山本山の海苔と十勝おはぎを買ってくるよう母に頼みます
しかし母が父が求める海苔やおはぎを一発で買ってくることはまずないのでした

私がまだ学生だった時のことです
入院している父を見舞いに行くと、言い争うような声が病室から聞こえてきました
覗くと、父がスーパーの袋を振り回し、母はカーテンを盾にして父から隠れていました

テーブルの上にはスーパーでよく売られている海苔
「山本山の海苔と言っただろう。なんでこんなのを買ってくるんだ!」
ベッドの上で、ひたすら山本山の海苔を楽しみにしていた父はカンカンです
「だって忙しかったんだもの」とカーテンの陰から反撃する母

「私買ってこようか」と話に割って入ると
「お前は黙ってろ!これは母さんとの問題だ!なんとしても母さんに買ってきてもらう!」
と睨まれ、私はそそくさとその場を離れました

その夜「なんで帰っちゃったの?お父さんの機嫌が悪いから明日も来て」と母に頼まれ
気がすすまない思いで翌日病院へ行くと、父の怒声が廊下まで漏れていました
「俺は山本山の海苔って言っただろう!」
「昨日より高い海苔を買ってきたわよ」
扉を開けると、憤怒の顔で海苔の包みを握り締める父と、よよと床に泣き崩れる母
私は開けたばかりの扉を閉めました

明くる日、「今度こそ山本山の海苔を買う」と誓った母に乞われ病室に顔を出すと
父は一変して上機嫌でご飯を海苔で包んで食べていました
「やっと母さんが山本山の海苔を買ってきてくれたよ~
このツヤにこの厚み、俺くらいの通になると山本山かどうか見ただけでわかるんだ」
満面の笑みを浮かべた父に「よかったね」と言いながら、何気なくパッケージを見ると
それは『山本山』の海苔ではなく『山本』の海苔でした

めでたし、めでたし
株式会社山本山:創業は元禄3年(1690年)
始まりはお茶屋さん
山本海苔店:創業は嘉永2年(1849年)
海苔ひとすじ
どちらも老舗で美味しいです
毎年命日には両方お供えしましょう

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